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「君が望む永遠」を、ともよちゃんにばれないようこっそり見なければならない。ともよちゃんは基本的にアニメは見ないので興味を示さないだろうが、原作がエロゲーだと知れば僕を見る目が変わるかもしれない。困る、それは。
普段はエロゲーどころかパソコンすら満足に扱えないように偽装しているのに。
エロゲーといえば、今日ポケットPCにコンバートした「月姫」をコソコソと通勤電車の中でやっていると、目の前の座席の高校生が分厚い新書を読んでいた。あんなに分厚い新書なんて、京極夏彦のナニかなあ、とか思っていたら「空の境界」だった。
この高校生も僕に、
「このエロゲオタが。未成年の癖に同人エロゲなんてやっていいのか?」
などと思われているとは思いもしなかったのだろう、下車駅まで一生懸命読みふけっていた。まさか彼も目の前のポケットPCで月姫やってるサラリーマンがいるなんて思いもよらなかっただろう。琥珀さん萌え。
放映開始まであと一時間。ともよちゃんはだいぶ眠くなってきたようで、ソファーでうつらうつらしている。
「ともよちゃん、おくすりのんで、寝たら?」
ともよちゃんはうっすらほほえんで。
「今日は、お薬なしで眠れるかがんばって見みますわ」
何もこんな日に頑張らなくても。
あと一時間。ああ。