2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2人だけの科学部(その6)

一目惚れ、とかそういうものでもない。 彼女が”気になる存在”だったことだけは間違いないのだが。しかし当時の彼女を知るものなら、皆一様に頷くだろう。そう、雪城さんは男子の関心を集めるに足る少女だった。授業を受ける姿はすこし愁いを含んでいて、まる…

2人だけの科学部(その5)

「開けても、良いかな?」 すこし緊張しているのが自分でもわかる。でも雪城さんはまるで子供にプレゼントを買い与えたような気楽な口調で「ええ」と頷いた。 薄暗い部屋。畳敷きの雪城さんの和室にはほんのりと月明かりと、ごく控えめな光量の間接照明しか…