2007-01-01から1年間の記事一覧

晴子さんからの手紙(4)

「うちの実家はなあ、アレやったんよ、アレ。仏教関係のな、デカい宗教や。いま選挙の話で時々名前出るやろ、アレやアレ。ウチも若いころは信じとった。会社の人に新聞取らせたりなあ。共産党のことボロカスに言うたりな。折伏や言うて人の家に上がりこんで…

晴子さんからの手紙(3)

神尾観鈴の身に不幸が訪れたのは、もう随分前のことだ。その件については様々な憶測が飛び交った。夏休みとはいえ学校には部活だ何だと、あとMのような落ちこぼれが補習を受けにきたりで結構な人数が集まるものだ。その空間にもたらされた突然のスキャンダ…

晴子さんからの手紙(2)

「気ぃついたか?」 学生は女の声で目を覚ました。学生と言うのも通りが悪い、この冴えない外見の高校生を仮にここではMとしよう。Mは女の声で目を覚ました。関西訛りの独特のイントネーションだ。Mの頭はずきずきと痛んだ。 「ここは」 Mはその痛む頭を…

晴子さんからの手紙(1)

海岸沿いの一軒家に、狂人が住んでいるらしいと言ううわさがたったのはつい一週間ほど前だった。きちがいなどと言うものはこの町では珍しくない。誰かが招くのかそれともこの町の風土がよろしくないのか。あるいは十年ほど前に立った原子力発電所がよくない…

無明

「あは…」 純白のウェディングドレスはどんどん血で赤く染まっていった。狼狽した新郎の小狼が何かをわたわたと呟いている。 「あはははははは、はははは!」 高く澄み切った声はまるであの日の歌声のようだった。朦朧としつつある意識の中、桜は懐かしい友…

リリカルなのはストライカーズED 「はやてちゃんへの想い」 はやてちゃんに思いを伝える前に ひとつだけ言っておきたいことがある 君にとっては些細なことかもしれないが 僕にとっては重大なことなんだエロゲーが売れるとファンディスクが売れる 君に対する…

ターンA

「ディアナ様!もっと!もっと強くお願いします!」 「ハリー大尉って変態なんですね。可笑しいですね」 「どうかハリーと…それとももっと侮蔑的な愛称でも…」 キエル・ハイムはハリーの股間に押しやった足に力を込めた。底の高いヒールは、ハリー・オードの…

かりそめの、ひとのなさけの、みにしみて まなこ、うるむも おいの

13日 なし。 14日 なし。 15日 なし。 16日 月宮あゆが憎い。 17日 なし。 18日 13日より、豊平川のほとりにある脳病院に来ている。来て、3日間、泣いてばかりいた。ここはきちがい病院なのだ。隣の部屋には私と年の変わらぬ、髪の長い愛らしい少女が居た。…

ロケットガール(名雪の精神が)

「じゃあ、祐一にだけ教えるね。あゆちゃんの正体」 ああ、頷いて名雪の手を取る祐一の表情は笑ってはいたが精気は無かった。これで何回目になるのだろう、この不毛の極みの会話は。 「あゆちゃんはね…アカなんだよ」 祐一は視線を落とした。精神病院の床は…

名雪にもっとやさしくしてあげて(5)

ナルコレプシー。 最初に秋子からその言葉を聞いたとき、祐一は正確に問い返すことができなかった。 「眠り病、とでも言うのでしょうか…」 秋子の説明もどことなく自信なさげである。だが、冗談の類であるとは思えなかった。その場にそぐわない冗談、という…

再製

友枝小学校を卒業してからの一年を、知世は絶望と苦痛の中で過ごした。 卒業式の二日前に日本共産党が政権を取り、日本民主主義人民共和国と国名を改め、志位和夫が書記長に就任してすぐ「人民整理法」が施行された。大道寺コーポレーションは即時に解体、母…

名雪にもっとやさしくしてあげて(4)

相沢祐一は、玄関に足を踏み入れた瞬間に無意識下でこの家の異変を捉えていた。 根拠があってのものではない。母一人、子一人の非常に小さな単位の家庭である。本来なら異変など起こりようも無い。十数年来、彼女らは仲睦まじく支えあって生きてきたのだ、実…

名雪にもっとやさしくしてあげて(その3)

「遠慮しなくて良いんですよ、祐一さん」 「あっ…秋子さん、そんな…」 漏れに馬乗りになって体を押し付けてくる秋子さん なんとも柔らかな秋子さんはあまりにもエロ過ぎる だがなんとも、そん嬉しすぎる状況なのにどうしても喜べない 「やめてください秋子さ…