2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

2人だけの科学部(その11)

かなり痛い。腹だ。腹部に疼痛。 藤村の蹴りはなんだか威力を増しているようだ。今日はHIPHOPだかラップだか知らないが、YOYOいいながら僕を蹴ってきた。その聞いているだけでIQが3下がるような世間への恨み節を聞いていると情けない気持ちになってくる。な…

2人だけの科学部(その10)

午前11時。大型の機材が特別教室棟に運び込まれるのを、授業中のガラス越しに眺めていた。大きなトレーラーに乗せられたそれはずいぶんたくさんの業者の人の手で運び出され、建物の中に消えていった。 もしかして、と思うが…あれも雪城さんの取り寄せたも…

2人だけの科学部(その9)

雪城さんは僕を疑いの目で見ていた。ただその表情は僕を責めるというよりむしろ僕に寄りかかってくるようで、とても弱弱しかった。まるで見捨てられることを恐れているようにも見えた。 「村田君…正直に言って。喧嘩でもしたの?」 僕の非常に稚拙で陳腐な言…

2人だけの科学部(その8)

午後の授業は欠席した。 さすがに鎖骨が痛むが、折れてはいないようだ。ラクロスのスティックで殴られたほうの肩をぐるぐると廻す。おそらく腹は打ち身だらけだろうが、藤村も美墨も僕の顔は一切殴らなかったので、制服を着ている分にはまるで怪我が目立たな…

2人だけの科学部(その7)

さすがにおもいきり蹴り飛ばされると堪える。雪城さんに随分と鍛えてもらったとはいえさすがにサッカー部のキックは半端ではない。 雪城さんに鍛えてもらった…? 僕はすこし自分の状況を忘れてその馬鹿な言い回しに心中笑ってしまった。それはいやらしい薄ら…