夕食後、お茶を飲みながらともよちゃんと昨日見た夢の話をした。
「そうそう、昨日ともよちゃんが夢の中に出てきたんだ」
「まあまあ」
 ともよちゃんはなんだか嬉しそうだ。
「それで、一体どんな風でしたの、わたくし」
「いつも通りだよ。上品で清楚なワンピース姿で」
「あら」
 ともよちゃんが顔を赤らめる。
「清楚だなんて、そんな」
 ともよちゃんを形容するのに、他にどんな言葉があるのだろう。可憐。気品に満ちた。愛らしい。ああ、どれを言ってもともよちゃんは真っ赤な顔をするんだろうなあ。
「それで、わたくしは何をしていましたの?」
「うん、それがね」
 そこで私は思い出した。ともよちゃんが僕に夢の中で何をしたか。そしてあまりの恥ずかしさに僕は瞬時に。
 錯乱した。ごまかさないと。
「ああああああ!ともよちゃん!おなか!おなかいたい!おなかいたいよ!」
 ともよちゃんが真っ青になって立ち上がる。
「ああ、あの、お薬を」
「うん、その、レボトミンハロペリドールラボナロヒプノールセレネース
 ともよちゃんが自分のピルケースから次々とそれらを取り出す、つうか全部持ってるのかよ!
「まあ、これは全部おなかのお薬ではございませんわ」
「ああ、そうだ。ガスター10、アレが戸棚に」
 ともよちゃんがあわてて戸棚を空ける。胃薬を取り出した。
 おなかが痛くないのに胃薬を飲むとよくないかなあ、特にガスター10ってきついらしいのに。思いながら僕はともよちゃんに礼を言ってそれを飲んだ。
 すっかり落ち着いた後、夢の内容なんて忘れたといえば済むことに気がついた。しかしとてもじゃないが言えない。夢の中とはいえともよちゃんにあんなことをさせるなんて。このことを知ったら、ともよちゃんは僕のことを変態といって軽蔑するだろう。もう口をきいて貰えないかもしれない。
 でもとても気持ちよかった。夢の中とはいえ。
 
 ともよちゃんに歯を磨いてもらうのは。