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 今日は寒かったよ。でも仕事はちゃんと行ってます。大丈夫です。睡眠もきちんととっています。ご飯もきちんと三度いただいています。冷蔵庫に置いてあった残り物を平らげてしまうと、元の貧相な食事に戻ってしまったよ。こういうところは、直せないなあ。でも、一応必要な栄養素をとってカロリー計算をして、味はともかくちゃんと食べてる。
 ともよちゃんがいないこと以外は、前と変わりない生活に戻ったよ。僕には正直なところ、そうすることしかできない。だから、どうか心配しないで。
 ちょっと疲れがたまってきたみたいで、トレーニングはちょっと手を抜いている。正月も休んだのにね。また休憩を入れないと。今日はおすもうさん見たいな人がものすごい勢いでトレーニングしていたのでちょっとびっくりしてしまった。あんなふうになったら、ともよちゃんは引くかなあ。



 だめだね。普通に手紙を書こうとしたけど、どうしても触れなくちゃいけない。
 手紙を読んで、すこし、泣いてしまった。僕はどうして君の事をきちんと理解してあげられないのだろう、ちゃんと見ていてあげられないのだろうって。けれども、きちんとそのことは受け止めておこうと思う。その上で僕が君に何ができるのか、僕が何をすれば良いのかを考えていこうと思う。
 君に何があったのか、僕は知らない。君に出会ってからのことしか僕は知らない。でもそのことを詮索する気はない。いつか話せるようになったら、話してほしい。
 つらいことは無理をして思い出さないほうがいい。だから、君はのんびりしていてほしい。僕もずっと過去に囚われて苦しんだことがあった。それは些細なことではなかったのだけれど、”考えない”ことで、そのことから逃げ切ることができた。結局時間がたてば苦しみなんてな忘れてしまうものだ、きっと。そのときはとてもそうは思えなくっても。
 ただ、僕は絶対に君の味方だ。決して君の事を裏切ったりはしない。そのことだけは信じてほしい。陳腐な言い方だけれど、こういうしかないじゃないか。
 
 病院の中で、話し相手はできたかな。もしよければ、ともよちゃんの部屋にあるものなり、なんなり用意して届けます。気軽に言って欲しい。ちょくちょく、病院まで顔は出しているから。では。