なぎさ殺し

 心地よい悲鳴が地下室にこだまする。なぎさ、好きだ。愛している。お前の活発なくせに女の子らしいところとか、飾らないところとか、全部好きだ。
 うふふ。陳腐だね。でも、どんなものでもやがては陳腐化するものだ。ましてミントさんやミルフィーユさん、知世さん、うさだジューコフ元帥、ポップ吉村、三浦雄一郎などさまざまなアニメキャラや偉人、冒険家などを監禁して来た俺の表現がそうした末路をたどるのなど、自明の理…うひゃひゃ、じめいのり?ほとんど意味わかって言ってないけどな。じめいのりって、めのり様に響きが似ててちんこがたつ。
 それはともかく、さすがに右手の指五本と左手の人差し指のつめと肉の間にたこ焼きをひっくり返す奴を差し込まれたなぎさの悲鳴たるやすさまじかった。
「近所に聞こえるだろ。いくら窓に目張りしてあるといってもなァ」
 本当はプリキュアに変身させてから殺して犯したりしたかったのだけれども、ほのかがいないんじゃなァ。芸のない奴め。
 荒い息を整えて、なぎさが言う。
「いったい、なんなのあなたは?痛いよ、いた」
 そこまで言ったなぎさの声が絶叫に変わる。苦悶の表情がまた美しい。左手の中指にたこ焼きをひっくり返す奴をねじ込んだからだ。すでに両手から流れた血が彼女の制服を汚している。
「オマエ私立中学とか通ってんだろ?いいよなあアニメキャラは。俺だってアニメキャラだったらもう少しましな暮らしも出来たと思うんだけど、まったく現実は世知辛いよなあ。オマエ、ホームレスとか見たことないだろ?そうしたモンを徹底的に排除した世界がお前達の世界だ。でも、現実にはドカタのおっさんがたまきん掻きながら土管掘ってたり、汚れが便器以外のところでウンコしたり…そういったものを」
 ぶすり。ぎゃあ。くすりゆびも血まみれだ。アハハハハ。
「知って欲しかったんだめぽ」
「め・・・・ぽ?」
 なぎさが俺を見る。畜生、そんな目で俺を見るな。俺は部屋の隅においてあった5番アイアンをフルスイング!なぎさの脳天を直撃したそれはシャフトが曲がった。
「オマエも光の園へ連れて行ってやるよ」
 俺は致死量のアモバルビタール粉末を傍らに置くと、なぎさが光の園へ旅立つまでなぎさを殴り続けた。すぐに俺も後を追うめぽ。