毒を吸って、美しく咲く花もあるのです。
 
 この半年というもの、私の暮らしは全く酷いものでありました。まるで毎日鉛のようになった私の手足、こころ、そして一切が苦痛に満ちて世界はどんよりと赤黒い、あの陰鬱な夕暮れに染まってしまいました。
 いつもながらこの苦しみに身を浸しておりますと、苦痛であるという言葉、私のいい様とは裏腹に、その実心地よく、実に居心地がよく、ああまたここに還ってきたのだ、この場所に帰ってきたのだ、お帰りなさい私、などとおどけて見せまして。
 ああ、とかやあ、とか、全くくだらない一人芝居なのですけど。全くどうにもならず、ただこの孤独という憂鬱の聖堂にひざまずく私のなんともいえない感傷、それは全くもって愚劣でさもしい浅はかな思いなのですけれども、実のところそれ自体は決してわるいきもちのするものではありませんでした。