タイトル未定

 ジャアクキングに敗れた雪城さんはそれでも彼らに屈することを選ばず、永い拷問に耐えたのち、「世界の事象を関連付ける能力」を奪われる。 
 全てが終わった世界。未来への希望が失われた絶望的な世界―すなわち”現実”という地獄に落とされた雪城さんは、自分が何者かもわからない恐ろしい精神状態のまま惨い生を生きることになる。
 悪意に満ちた退廃的な愛のない世界。”俺”は雪城さんの特殊学級ゆきに反対し、雪城さんの面倒を見ることを決意する。ソレはながいながい”世界という悪意”への挑戦だった…。



ねえ私、しんでしまったの?
まだ私、生きているの?
なぎさは何処?世界は救われたの?何もわからない。

ただ触れるものはみな恐怖だけ。恐ろしくて、ただ金切り声を上げる。私はきっと狂人。
少しだけ、道筋があるなら。ひとつ明るい光が雲間から差している。
私は全てのモノに”意味”や”理由”を見出せない。
ヒトはヒトである。ただそれだけ。
ヒトが生きている?食べ物を食べている?喜んでいる?何かをしてくれる?
わからない。ワカラナイ。

昔は知っていた記憶。そう、知っていたからこその苦しみ。知らなければ、苦しみと思うはずもない。白痴の者は幸福。周囲が哀れんでも、自分を哀れむことはない。
私は自分を哀れむ。そして自分を救う手立てを持たない。
ただひとつのあの光が、私をここから連れ出してくれる
そんな幻想を信じている。