冬の思い出

 冬の間、集落は雪に閉ざされ町へ行くバスは無くなってしまう。分校もない僕らの集落からふもとに通っているのは僕と雪城さんの二人だけ。僕たちは町の学校の宿泊所で寄宿舎生活をすることになった。
 雪城さんは中学の3年になってから転校してきた。最も勉強はものすごく出来るそうなので進学には関係ないそうなんだけど…でもこんな時期に転校してくるなんていったい何があったんだろう。彼女は黒くて長い髪がとても清楚なイメージを与える色白の美人だ。性格もやさしく穏和な彼女に僕は強く惹かれていた。
 兎に角ふもとの学校まで山奥の集落から通っているのは、僕と雪城さんだけだった。小学生の僕にとって雪城さんは姉のような存在だった。実際彼女は面倒見もよく、勉強もとても丁寧に教えてくれたしなにより困ったことがあると絶対にすぐに助けに来てくれた。正義感の強い人だった。

 その夜も僕は宿泊所の居室のこたつに入って二人きり、雪城さんに勉強を見てもらっていた。雪城さんはテキストを広げてノートになにか計算式を書き付けている
「雪城さんはなにしてるの」
「パイオニアアノマリーについて惑星間に存在するガスの影響の可能性を検証してるの」
 なにがなんだかよくわからないが雪城さんは頭が良い。
 あれやこれやと1時間くらい勉強した。すこし疲れた僕は雪城さんにおふろに入ってくると告げて風呂場に向かった。
 昔は集落からたくさんの子供たちがふもとの学校で寮生活をしたそうだが、最近では子供の数も減って僕と雪城さんだけになってしまった。来年は僕だけになってしまう。一抹の寂しさを感じながら僕は風呂場に入った。洗い場が3つもあって、さすがに一人で入るにはやや広すぎる風呂ばの脱衣所でパンツを脱いだ。
 と、いきなり脱衣所の扉がガラッと開いた。僕が吃驚して振り向くとそこにはなんと笑顔の雪城さんが立っていたのだ。
「わあああ!ちょっと!雪城さん!」
「面倒だから一緒に入っちゃいましょ」
 いきなりジャージを脱ぎだす雪城さん。僕は目をなるべくそむけながら前を隠した。
 こともなげに全裸になった雪城さんは僕を風呂に押し出した。その時密着したので柔らかな胸が直接僕の背中に当たった。
「やめてよう、駄目だよ雪城さん」
「どうしたのう?いつまでも風呂湧かしてちゃ時間とガスの無駄よ」
 僕の困惑を知ってかしらずか何事もないように雪城さんは僕を洗い場に座らせた。
 昔はたくさんの子供が使ったので風呂はとても広い。雪城さんは背後に座ると、
「さあ、頭を洗ってあげるわ」
 と言ってそっと僕の頭にお湯を掛けてきた。
「雪城さんやめてよー、一人で洗えるよ」
「うふふ、遠慮しないの」
 わしゃわしゃと僕の頭をかいてくれる雪城さんの指は優しくて心地良かった。
 頭を流すと次は体だ。雪城さんは僕の背中も流してくれた。
「もう新品同様にしてあげるからね」
(新品って…)
 雪城さんは僕の体を洗うのが楽しくなってきたらしい。僕はちょっと困惑しながら雪城さんにされるがままになっていた。
「そうだ!良いことを思いついたわ!」
 雪城さんがなんとなく白々しい声音で大きな声を出した。風呂場にその声が反響する。
「私も体洗わなくちゃ!えーと…」
 雪城さんがすこし僕からはなれる気配
「雪城さんどうしたの」
「ちょっと待ってね」
 ぺたぺたと音がする。どうしたんだろうと僕が思っていると、背中に暖かくやわらかい感触が。
「あっ!!!!」
「うふふ、こうすれば村田君の背中と私のお腹が一緒に洗えるでしょう?」
 雪城さんは彼女の胸からお腹に掛けて石鹸を塗りたくり、僕の背中に押し付けてきたのだ。そしてそのまま上下動する。
 雪城さんのなまめかしい柔らかな体の起伏がにゅるにゅるとぼくの背後を這い回る。
「雪城さん、もうやめてよー、ふざけないでよう」
「ふざけてなんていないわよ。ちゃんと洗わなきゃ駄目じゃない」
「普通に洗うからいいよう」
「もう、我がままね!いいわ、前も私が洗ってあげる!」
 雪城さんは体を密着させたまま僕のお腹、そしてその下へと手を這わせてきた。
「あっ!ちょっと、駄目だよ!駄目駄目駄目!そこは駄目だよ!」
「ふふふ。なにが駄目なのかしら?」
 ついに雪城さんが僕の股間のその部分に触れる。
「ちょ…やめ…やめてよ…!」
「村田君、オナニーとかはしているの?」
 耳元で急にとんでもないことを囁く雪城さん。その口調は、やさしい近所のお姉さんのそれとはまた違っている。耳に息が吹きかかり僕は震えた。
「えっ…」
 実のところ、僕は雪城さんをおかずに何回も何回もオナニーをしていた。雪城さんは僕にとって憧れの人だったんだ。
「ほら、こうやってちんちんシコシコしたりしているの?」
 雪城さんは僕のその部分を握り締めて軽く上下動させた。
「もうこんなにすっごく硬くなっているじゃない。ホラホラ、自分でやるのとはまた違うでしょう?」
「雪城さん、やめてよう。だめだよう」
「何が駄目なのかしら。こんなに硬くしちゃって。ほら、もっと強くちんちんシコシコしてあげるから」
 雪城さんの上下動のスピードがどんどん速くなる。僕は目をつぶって必死に我慢していた。
「こらえてる顔がまたかわいいわね。でも我慢しなくていいのよ、出してすっきりしちゃいなさい」
「うううっ!…はぁはぁ」
 雪城さんは僕の顔と局部を交互に見ながら存分に楽しんでいる。体が密着して背中や肩に雪城さんの柔らかい胸や体があたる。僕は恥ずかしさと気持ちよさでおかしくなりそうだった。
「ホラホラ村田君、もう限界でしょ?こんなにちんちんシコシコされてもう限界でしょ」
「うわああ」
 目の前が真っ白になった。僕は結局あっという間に射精してしまった。
 しばらく肩で肩で息をする。気持ちよさの後、ものすごい罪悪感と虚無感が僕にのしかかってきた。やさしい面倒見の良いお姉さんのはずだった雪城さん。それがこんな…。
 僕は切なくなって泣き出してしまった。
「あっ…!ご、ごめんね村田君!」
 あわてる雪城さん。
「うわああん」
「ごめんねごめんね!本当に嫌だなんて思わなかったの!ごめんね!」
 必死に宥めてくれる雪城さん。違うんだ、嫌じゃないんだ、嫌じゃないんだけどこんなのはヤなんだよう。
「うわああん」
 僕は暫くの間泣き続けた。

 雪城さんが都会の学校で集団レイプされ、その学校にいられなくなって引っ越して来たのだという話を母から聞かされたのは、そのあと10年位して僕が大人になってからだった。。