部活でしごかれまくる。
 このままだと死んでしまうかもしれないし、なにより非科学的なトレーニングで身体を壊しそうだ。夏休みに入る前からOBがそのしごきに輪をかけている。このOBは別に学生でもなく、かといって働いているわけでもないらしい。このまま耐えるしかないのだろうか。僕は部活ではごまめのような存在だ。むりやり勧誘されて断りきれず入部しただけで、やめるというと上級生に脅されるのだ。やめたら後ろの純潔はないと思えとかなんとか。酷い話だ。
 僕は奴隷だ、餌だ。奴隷だ、餌だ。奴隷だ、餌だ。奴隷だ、餌だ…。
 すっかり暗くなった帰り道。同級生からも見捨てられている僕は一人で家に帰る。ぼんやりと疲れた身体を引きずりながら僕は霧島佳乃の姿を探していた。さすがに彼女はこんな遅くまでいるわけがない。飼育委員の仕事ってそんなに時間がかかるものでもないか。
 僕は溜め息をついた。こんな夏休みでいいのだろうか。